病弱なキャラクターと病弱な自分
病弱だったキャラクターがいきなり健全になる。そんなアニメに心底怒りがあった。
【同じ病気のキャラクターが縦横無尽に暴れまわっている】
ことについて、腹立つと同時に
【アニメにとってキャラクターの病気はただのリミッターか】
と思うこともある。
結論から言うと、《インフルエンザやコロナウイルスにかかったら真っ先に死ぬ体》だ。健全な高齢者より弱い。
心臓病で年金なし。
障害者手帳はある。
これ以上病気が増えたらという不安と戦いながら30年生きている。魔法少女になったり、豆で体力が回復するどこぞのアニメが羨ましい。
《何かの転機で病弱なこの体が健全になったら》、そんな超常現象など全く起きないのに、そう妄想してみる。
起きないのだ、そんなご都合主義な現象は。
人生で良かったのは、素晴らしい医者に出会って素晴らしい治療を受けたこと。
心臓病は、あの格闘アニメや魔法少女アニメにとって、リミッターやギミックでしかなかった。それを治療したら力が解放される、作者にとって病弱キャラとはそんな仕掛けでしかないのだ。体に負担がない病弱魔法少女に同情の余地はあるだろうか。
何事もなく30年が過ぎてしまった。
予測では再び手術をするまで後5年もない。
なにもしなければ後5年しかない。
そんなことを言いながらも、また生き延びる気がする。
生き延びて生き延びて40歳まで寿命が延長なんてあり得る話。
心臓発作なんてなかった。
心不全もなかった。
あるのは、溢れる野心のみ。
アニメのキャラクターは、病気が治ると同時に戦う使命を与えられる。エンディングで脇役の病気が治ってハッピーエンドなんてのは希だが、そんなアニメはご都合主義の化身だ。
病弱なキャラクターは、病弱な人にとって共感できるのだろうか。病弱から解放されたら時間をループするはめになったみたいなのは現実世界で起きないでほしい。
「これを飲めば心臓病から回復できて未来での結末を回避できますよ」
と未来から未来人が来るわけでもないし、来て欲しくない。アニメキャラクターにとって肉体の病気など治療薬一つ飲めば治るのだ。
魔法少女にはなれない。となると、現実世界ではこのまま永久に心臓病のまま過ごすことになってしまう。
慣れたと言えばそれまでだが、どんな病弱だろうと【恐れ】は変わらないと思う。
アニメのキャラクターにとって病弱とはなにか、現実の人間にとって病弱とはなにか。コロナウイルスが流行っている今だからこそもう一度考えてみよう。
「ハンデ」にしか見えないのは普通のことだ。
これが健全な体だったら今頃もっと悪いことが起きていたかもしれないな。とも思っている。
ああ、パラリンピックに出てみたい。