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幻庵 | 百田 尚樹

更新しました。

今週のお題「読書感想文」

私の読書感想文の問題点は、[主人公のライバル]を応援してしまう性根である。
井上幻庵因碩を題材にした、[幻庵 | 百田 尚樹]においても、様々なライバルが登場するのだが、なかでも「本因坊丈和」が気になった。
私は囲碁の世界に詳しくない。
その時代の囲碁に優れた人物が出てくるが、私は本因坊丈和に肩入れしてしまった。

というのも、井上幻庵因碩の名前がころころ変わることが問題である。
登場人物紹介を何度も見返す程に、[全部幻庵で良くね]と思ってしまう。
江戸時代に名前が変わるのは珍しいことではない。
[本因坊][井上]という肩書きが如何に囲碁の世界では強力なのかがわかった。

織田信長も豊臣秀吉も徳川家康もそう言ったゲームを奨励することが発展につながることを知っている。
囲碁、将棋が時々戦の作戦立案に関わってくるように、当時の知識人にとって当たり前のことであった。
私は小学生時代、将棋部だった。わざと先生が負けてくれたと思うが、教師に勝ったことがある。

将棋部に入っていた頃は、[将棋の名人は、一手一手おぼえている]と聞いて愕然となった。囲碁にも記憶力のある天才が名人になれるのだろう。私には盤面の碁を記憶する力はない。[囲碁には体力が必要だ]と知った時点で、囲碁は向いていない。

[長考する]という囲碁と将棋の待ち時間に疑問を持っていた。
対局中に吐血した天才もいると聞いて、私には無理だなと悟った。

囲碁の世界は、長時間座って観戦している人がいるらしい。[長時間座るなどできない]と思った次第である。

幻庵を読むと、[私には囲碁は不可能だ]ということを突きつける。

駆け引き、長考、大胆不敵、この書にあるわけではないが、調べている最中に、囲碁は[椅子席]に変わったということを知った。

正座は将棋の世界である。将棋の世界も囲碁の世界も相手が待ち時間を使用しだしたら待たねばならない。

正座も長時間の着席も、私にとってはできるものではない。

幻庵について詳しく調べたが、魅力的な人物だと思った。

幻庵を見ていると、名門◯◯家が如何にして囲碁の人材育成に力を入れていたかと感服した。師匠は弟子の力を見抜いていた。

弟子もまた師匠の洞察力に応えたということだ。

囲碁にも体力が必要という論には納得いかないが、確かに足が痺れる私では真剣勝負にならぬ。
この本を見てオンライン囲碁をしてみたがあっさり負けてしまった。

地の文が幻庵には多い。ただし、幻庵を知っている者にとって楽しめるかはわからない。

名人を巡る争いは初めて知った。囲碁以外の駆け引きも見所である。

しかし、私はころころ変わる登場人物の名前を記憶できない。登場人物紹介のページでいちいち確認するしかない。誰が井上幻庵因碩で誰が本因坊丈和なのかいまいち判然としない。登場人物の名前も記憶できない記憶力のなさでは、碁の譜を見るなど夢のまた夢だ。

待ち時間(2日制)5時間と聞いて、私はさすがにダメだなと思った。というか2日跨ぐのが信じられない。

とりあえず、井上幻庵因碩は凄い人であり、待ち時間なども含めて体力があって、碁も記憶できて、[運が悪い]ということがわかった。

運が悪いというのは、玄界灘の件も女運も名人も含めてだ。

作者が井上幻庵因碩ではなく、本因坊丈和をメインにしていたら、もっと違うストーリー展開もあったかもしれない。

体力勝負と言えば読書もそうだ。上中下を読み終えるには体力が必要。幻庵の上中下を読み終えたが、私は冷や汗をかいていた。

幻庵のような人物は主人公に相応しいのかもしれない。が、私はやっぱり本因坊丈和の方が気になってしまう。