数度目の手術
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「水をくれ」
それが、手術から目覚めた私の第一声だった。
《心臓病の数度目の手術で簡単に助かったのは、前回の手術痕が残っていたからだ》
という皮肉な結果である。
私は自らの無事を確認した。
「9月11日」という非常にあれな日に、私は手術後の
控え室で目覚めた。
周りは見たことのない器具だらけ。
手術で使う予定のものか、もう使ったかもしれない。
目覚めは早い方らしい。
次第にはっきりした意識の中で私は思った。
「助かってしまったか」
神様と議論してくると言った割にはたいした議論はしなかった。
第一、当時はこの世にいても楽しいことは何一つなく、死ぬ口実を失ったことは、私にとっての痛恨のミスだ。
生き残ったからには、私にできることをしよう。そう思っていた。